北本市史 通史編 自然

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第3章 北本の土壌

はじめに
土壌は、砂や粘土、そして動植物遺体の分解物のたんなる集合体ではない。その地域の気候・地形・地質・植生などの自然環境の影響をうけながら長い期間を経て生成した自然の一部といえよう。その結果、さまざまな特徴をもつ土壌がつくられる。さらに耕作や自然改変などによる人為的影響もかかわり、多種多様な土壌が生成する。
北本市は大宮台地の北端部に位置し、台地の西側に荒川が、東側に元荒川が流れ沖積低地がひろがる。そのため市域の土壌の種頰と分布は、これらの地形と地質に支配されているといってよい。すなわち、市域の主要部を占める大宮台地には、関東ローム層とよぶ茶褐色(ちゃかっしょく)を呈(てい)する風化火山灰が厚く堆積しており、この火山灰に由来する土壌が分布する。一般に黒くボクボクとした表土のため、この火山灰土壌を黒ボク土とよんでいる。多くは果樹園・野菜畑・さつまいも畑さらには陸稲・麦畑として利用され、とりわけかつてこの地は、埼玉有数の麦作地として有名であった。一方、沖積低地では水田土壌が分布している。また、台地を浸食して開析谷(かいせきこく)が発達し、谷地田と称する小規模水田が随所に認められた。他に、全国的に例をみない台地上の客土(きゃくど)土壌(ヤドロ)や、関東ローム層に挾在する地質時代の埋没土壌が認められる。
市内に分布する代表的な土壌について、以下紹介する。

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