北本市史 通史編 原始

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第2章 豊かな自然と共に

第8節 縄文人の一生

抜歯と研歯
七・五・三や成人式など、人の一生の中でその時その時に受けたり、参加したりする儀礼を通過儀礼(つうかぎれい)という。縄文時代の人骨に特定の歯が抜いてあったり、溝をつけたりした特定の歯がある。これらは一種の成人式や結婚のしるしとして施されたと考えられている。縄文時代の終わりごろには、一生のうちに何度か歯を抜く習慣があった。成人になると、おとなになったしるしに、上顎(うわあご)の二本の犬歯を抜き、結婚すると下顎の犬歯または切歯を抜いたようである。ー生における通過儀礼はこれだけではなく何回かあったことであろう。江戸時代の若者組のように、子ども社会へ加入するとか、それなりに何らかの儀礼があったことが推察できる。狩りを仕込む父親に反抗する若者もいたのではなかろうか。現代社会と同質のストレスはないだろうが、縄文人にも思春期はあったろう。通過儀礼をおこなうことによって不安定な精神状態を脱して社会的な責任を持たせることも必要だったに違いない。

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