北本市史 通史編 現代

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第2章 都市化から安定成長へ

第2節 北本市の発足と市政の展開

2 市政の展開

始まり広まる公共下水道

写真36 下水道元荒川処理センター

桶川市(荒川左岸北部下水道事務所提供)

昭和四十五年埼玉県作成の第二次基本計画は、四市二町(面植一万五三一九ヘクタール、人口五十二万五〇〇〇人)を処理区域とし、事業費約ニ十一億円(管渠七十六億、ポンプ場九億、処理場百二十六億)をもって、元荒川幹線、桶川幹線、元荒川第一準幹線、元荒川第二準幹線の四系統で総延長四十九キロメートルに及ぶものであった(現代No.三十八)。同計画は、昭和四十七年着工、五十一年度一部通水を目標にしていたが、このころ熊谷バイパスの建設が計画されたため、その工事に先行させる必要から一年繰上げとなった。繰上げとなったのは、いうまでもなく熊谷バイパス沿いの工区であるが、元荒川幹線三十.六キロメートルのうちの十二.四キロメートルにあたり、昭和四十八年に完成し、さらに延長工事と終末処理場建設工事が続いた。
このような幹線工事の進行に対応して、北本では表25に示す公共下水道七か年計画を立て、さらに昭和四十八年受益者(じゅえきしゃ)負担金制度を導入して財源確保を図るとともに、「公共下水道事業特別会計」を設けて一般会計と分離し、四十九年度より建設事業を開始した。
注、受益者負担金制度とは、受益者(土地所有者または借地権者)に建設事業费の一部(五分の一)を負担金として課す制度。単位負担金(建設事業費X1/5%÷事業区域面讀)に所有地(または借地面積)の累各個人負担額となった。
表25 公共下水道建設計画  (昭和47年)
名 称完 成 区 間延 長
m
起 点終 点
北中丸第1幹線 常光別所原 東 間 蔵 前 3,440
北中丸第2幹線 北中丸大久保 下石戸下ニッ家 1,850
古市場幹線 鴻巣市谷島 北本宿上原 2,190
宫 内 幹 線 鴻巣市下谷 深井雑木林 1,640
勝 林 幹 線 下石戸上下手 下石戸下山中 2,340
下石戸下幹線 下石戸下蔵引 下石戸下考戸 980
下石戸下第1枝線 下石戸上下手 下石戸下ニッ家 1,130
下石戸上幹線 下石戸上本村 高尾東谷足 920
古市場雨水幹線 古市場堀込山 中 新 田1,850
その他枝線127,460
143,800

(『広報きたもと』№120より作成)

同計画は事業費三十二億円余り(国庫補助六億三〇〇〇万円、起債(きさい)十九億円、市費三億八〇〇〇万円、受益者負担金三億四〇〇〇万円)をもって、市街化区域七四五へクタールを処理区域とするものであり、昭和四十九年度からその第一期事業(高崎線の東側三八一ヘクタ—ル)に着手した。そして昭和五十六年度より深井・東間・宮内・北本地区(全体計画の二十四パーセント)の処理が可能となった。受益者第一号となった関彰(東間八の一六〇)は、その所感(しょかん)を次のように記している。
タイミングがよかった。(中略)三月末から家屋の補修をしていた(中略)。飛びつくように許可申請を出したのは、何回もエ事による煩雑(はんざつ)さを避けたにすぎない。とはいえ、工事登録業者も、市役所の説明がすんだばかりで、これから検討して、といういささか腰の重い時期だったようだ。
その業者の尻をたたきながらというのが、下水道本管使用の第一号につながったとは・・・・・・。最初あまりピンとこなかったけれど、もし、下水道沿革史なるものがあって、その第一ページに記載など・・・・・・。やはり晴れがましいことだ。

(『広報きたもと』No.三一八)


また、山内和枝(深井一の八十二)は、下水道による生活環境の変化について、次のように記している。
私の家では、下水処理のために掘った六、七メートルもある穴も膜が張り、すでに汚水が溢(あふ)れていました。仕方なく二万円もするポンプを買い求め、道路に流しておりましたので、一日も早く下水処理場が完成するよう待ち望んでいたのでした。並行してトイレも水洗化され、蚊(か)や八エの発生が少なくなり、掃除もだいぶん楽になりました(下略)。

(『広報きたもと』No.三一八)


表26に示すように、その後も年々管渠(かんきょ)は延長し、処理区域の拡大とともに、水洗化も普及しつつある。現在も
なお工事は継続中であるが、処理面積は市街化区域の約五十パーセント、処理区域内では全世帯の約九十パーセントが水洗化している。
表26 公共下水道事業の進捗状況
項目
年次
年間工事
延長(Km)
総延長
(km)
事業費
(千円)
処理区域水洗化
面植
(ha)
世帯
(戸)
世带
(戸)
割合
(%)
昭和49119,262
50156,620
5119.2214,766
525.124.3226,537
534.128.4310,658
545.834.2306,494
554.738.9558,190
565.344.2590,1901532,4431,05443.1
575.649.8607,1551863,0432,00365.8
587.156.9660,8431983,2372,67682.7
596.563.4672,7682263,8663,13581.1
60669.4680,6392574,6503,73680.3
616.876.2500,0902825,1154,30283.6
624.480.6574,0003075,8135,04086.7
636.687.2652,8733227,5326,98892.8

(『北本市公共下水道事業年度別整備量調書』『北本の統計・平成3年版』より作成)

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