北本市史 通史編 現代
第2章 都市化から安定成長へ
第2節 北本市の発足と市政の展開
3 「緑に囲まれた北本市」づくり
保護とふれあいの北本自然観察公園自然学習苑の事業費は、昭和六十三年度埼玉県予算に計上され、事実上の決定(正式決定は同年十月)をみた。しかし予算編成にあたって、名称が「自然学習観察公園計画」「自然学習センター計画」(仮称)に変更された。当時建設省は重点施策として、まちづくりの拠点となる自然生態観察公園(アーバンエコロジーパーク)の整備を推進していたから、名称変更によって、国庫補助を得やすくしたのであろう。
名称も性格も確定した後、市議会には「できるだけ建物は建てない方がよい」など、事態の変化に即した肯定的意見が現れた反面、宿泊施設などへのこだわりも相当強いものがあった。しかしそのような観光型施設は、観察公園の趣旨からいって受け入れられるはずがなかった。また買収対象の地権者から要望のあった鳥害対策も、考慮されることなく計画立案が進み、昭和六十三年十月都市計画事業決定、同年十二月に事業認可を得た。
自然観察公園は、自然観察と自然とのふれあい、という相反する目的を両立させようとするものであるが、恒久的な「保護」が前提にあることはいうまでもない。したがって園内は、利用区域と保全・保護区域とに画然と区画され、観察・展示・研修などのための自然学習センターが設けられる。平成三年度末の予定地買収率は六十四パーセントであるが、すでに工事は進み、平成四年七月に一部開園した。
写真41 北本自然公園予定地
平成3年 荒井
写真42 埼玉県自然学習センター
平成4年 高尾