北本市史 資料編 近世

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第2章 村の生活

第3節 産業と金融

8 借用金・借地

135 文化八年(一八一一)四月 下石戸上村専助御用御貸付金拝借証文
  (下石戸上 吉田眞士家文書九〇)
(表紙)

    文化八年
 御用御貸付金拝借証文
       牧野左近知行所
  未四月  武州足立郡下石戸上村
         拝借人  専   助
 御郡代所ノ下書
                  」
     差上申拝借証文の事
未四月より同十二月迄
 一金五拾五両也   但利足暮壱割弐分
右御貸付金此度拝借仕候処相違無御座候、利足の儀ハ毎年十二月十五日限急度上納可仕候、依之質地証文左ニ差上申候、然上ハ元利納方の義御極通ハ勿論年季内不残返納被仰付候共、其節縦水早損等の凶年御座候共、御願ケ間敷義ハ不申上元利相揃急度返納可仕候、若相滞候ハゝ質地御取上御払可被仰付候、万一御払代金ニて不足仕候歟買請人無御座候ハゝ、加判人ハ勿論惣百姓ニて引請金子調達仕急度返納可仕候、其節難渋仕候ハゝ何様の御咎被仰付候共御願ケ間敷義申上間敷候、且右御金并手前金を以御貸付金取次抔ニ偽外へ貸出候ハゝ、是又御科可被仰付候、依之村役人其外一同連印証文差上申所仍て如件
      牧野左近知行所
  文化八未年四月         武州足立郡
         下石戸上村
        拝借人 専   助
        親類  惣   助 ㊞
        五人組 弥 兵 衛 ㊞
        百姓代 七 兵 衛 ㊞
        与 頭 与右衛門  ㊞
        名 主 兵 三 郎 ㊞
  御貸付
  御役所

資料135 下石戸上村専助御用御貸付金借証文

(下石戸上 吉田眞士家文書)


 差上申質地証文の事
  御水帳小給書抜
 字くほの祢    御水帳面七右衛門
後一上々畑壱反四畝廿三歩 当地主 専 助
 同祢ぎかい戸      同蓮花
前一上々畑八畝廿弐歩   同断 同 人
 同寺の前        同善右衛門
 一上々畑八畝廿四歩   同断 同 人
 同所
 一上々畑七畝拾壱歩   同断 同 人
  小以三反九畝廿歩
 字おじまのまへ   御水帳市郎右衛門
 一上畑壱反三畝廿三歩  当地主 専 助
 いけはた前       同吉兵衛
 一上畑壱反七畝拾壱歩  同断 同 人
 同所        同庄右衛門
 一上畑壱反壱畝九歩   同断 同 人
 同所        同市郎右衛門
 一上畑壱反五畝拾九歩  同断 同 人
 祢きかい戸前         同蓮花
 一上畑九畝歩      同断 同 人
 同所        同里兵衛
 一上畑六畝歩      同断 同 人
 同所        同同人
 一上畑四畝廿九歩    同断 同 人
 同所        同同人 
 一上畑八畝廿弐歩    同断 同 人
 宇原        同七右衛門
 一上畑八畝三歩     同断 同 人
 同所        同うし
 一上畑三畝廿歩     同断 同 人
 同所        同同人
 一上畑七畝廿壱歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一上畑八畝拾弐歩    同断 同 人
   小以壱町壱反四畝拾九歩
 字志たての前    御水帳里兵衛
 一中畑壱反壱畝拾四歩  当地主 専 助
 同所        同作右衛門
 一中畑六畝拾歩     同断 同 人
 同所        同庄右衛門
 一中畑七畝廿三歩    同断 同 人
 同所        同作右衛門
 一中畑六畝七歩     同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑六畝廿四歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑四畝拾四歩    同断 同 人
 宇おしまの前    同市郎右衛門
 一中畑八畝四歩     同断 同 人
 いけはた前     同庄右衛門
 一畑六畝拾三歩     同断 同 人
 宮海戸       同同人
 一中畑壱反壱畝拾壱歩  同断 同 人
 祢きかい戸前    同里兵衛
 一中畑八畝四歩     同断 同 人
 原         同仁左衛門
 一中畑七畝廿壱歩    同断 同 人
 字原        御水帳
 一中畑六畝七歩     同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑四畝拾三歩    同断 同 人
 同所        同里兵衛
 一中畑七畝廿四歩    同断 同 人
 同所        同助左衛門
 一中畑弐畝廿四歩    同断 同 人
 くほの祢      同加右衛門
 一中畑五畝歩      同断 同 人
 同所        同新右衛門
 一中畑七畝拾九歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑五畝八歩     同断 同 人
 字たいの前     同太兵衛
 一中畑四畝拾弐歩    同断 同 人
 同所        同里兵衛
 一中畑八畝五歩     同断 同 人
 祢きかい戸     同蓮花
 一中畑壱反壱畝三歩   同断 同 人
 同所        同里兵衛
 一中畑壱反拾六歩    同断 同 人
 同所        同蓮花
 一中畑五畝拾九歩    同断 同 人
 字祢きかい戸    御水帳里兵衛
 一中畑八畝七歩     同断 同 人
 同所        同新右衛門 
 一中畑壱反壱畝廿九歩  同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑壱反廿弐歩    同断 同 人
 寺前        同同人
 一中畑五畝拾九歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑六畝歩      同断 同 人
 同所        同真福寺
 一中畑七畝三歩     同断 同 人
 同所        同蓮花
 一中畑三畝九歩     同断 同 人
 寺前        同真福寺
 一中畑八畝拾八歩    同断 同 人 
 同所        同同人
 一中畑四畝三歩     同断 同 人
 ききやうかい戸   同市郎上門
 一中畑壱反拾弐歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑七畝廿九歩    同断 同 人
 同所        同勘右衛門
 一中畑八畝廿壱歩    同断 同 人
 字ききやう     御水帳助左衛門
 一中畑壱反四畝拾六歩  同断 同 人
 九丁        同市郎右衛門
 一中畑八畝拾八歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑七畝拾六歩    同断 同 人
 同所        同加右衛門
 一中畑七畝歩      同断 同 人
 同所        同助左衛門
 一中畑四畝四歩     同断 同 人
 同所        同図書
 一中畑六畝拾七歩    同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑七畝六歩     同断 同 人
 同所        同善左衛門
 一中畑壱反九畝三歩   同断 同 人
 同所        同助左衛門
 一中畑四畝廿歩     同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑四畝九歩     同断 同 人
 同所        同同人
 一中畑九畝廿九歩    同断 同 人
 同所        同里兵衛
 一中畑一反八畝廿歩   同断 同 人
 弥きかい戸     御水帳里兵衛
 一中畑五畝拾九歩    当地主 専 助
      (七カ)(四カ)(拾四カ)
   小以三町六反八畝拾三歩
 宇志たてのまへ   御水帳作右衛門
 一下畑八畝壱歩     当地主 専 助
 同所        同同人
 一下畑壱反壱畝廿九歩  同断 同 人
 同所        同同人
 一下畑八畝廿四歩    同断 同 人
 同所
 一下畑六畝廿歩   同同人
  小以三反五畝拾四歩 同断 同 人
 右の寄 (六カ)(四カ)(七カ)
 反別合五町五反八畝拾歩
 上々畑壱反ニ付 質入直段 金五両
 上畑 同    同    金四両弐分
 中畑 同    同    金四両
 下畑 同    同    金三両弐分
右の御貸付金拝借仕候ニ付、右質地小給書抜書面の通少も相違無御座候、尤右の内荒地潰地等決て無之、若此上変地出来仕候ハゝ早速御訴申上地所引替差上可申候、右質地何方よりも構の者無御座候、勿論外へ借金等の書入仕候地所ニてハ無御座候、万一此已後重質等ニ差出候ハ、地主ハ勿論加判人一同御咎可被仰付候、且質入直段の義ハ地頭所へも書上置候通相違無御座候、依之一同連印証文差上申所仍て如件
        牧野左近知行所
       武州足立郡
        下石戸上村
 文化八未年四月 拝借人 専   助 ㊞
        親 類 惣   助 同
        五人組 弥 兵 衛 同
        百姓代 七 兵 衛 同
        組 頭 与右衛門  同
        名 主 兵 三 郎 同
  御貸付
   御役所
    覚
     牧野左近知行所
      武州足立郡
       下石戸上村
        拝借人 専   助 ㊞
        親 類 惣   助 同
        五人組 弥 兵 衛 同
        百姓代 七 兵 衛 同
        組 頭 与右衛門  同
        名 主 兵 三 郎 同  
右拝借人専助義御用御貸付金拝借相願候ニ付先達御願人差出候所御吟味の上此度金五拾五両拝借被仰付候旨被仰渡、質地証文差上候通相違無御座候、尤拝借人ハ勿論加判人共も身元慥成者ニ付、証文為差出候上ハ縦如何様の義有之候共、御極通元利納方滞無之様急度申付置候、万一等閑の義も有之候ハゝ牧野左近方ニて引請聊無遅滞相納候様取許可申候、依之一札入置申候、以上
      牧野左近知行所
 文化八年未八月   崎山助右衛門 印
           原 田 蔀  印
  御貸付方
   御役所
 前書の通相違無御座候、以上
        牧野左近 印
解説 江戸時代初期、幕府は飢饉や災害などの非常時にその救済を目的として公金で無利子の貸付を行ったが、財政事情が悪化した中期以降になると利息収入を目的とした利付貸(御貸付金)を積極的に行った。その窓口の一つが江戸馬喰町にあった郡代役所である。
この資料は下石戸上村の専助が、使途は不明だが四月から一二月一五日迄金五五両を利息一割二分で幕府から貸付を受ける際、郡代役所へ提出した御用貸付金拝借証文の下書きである。
専助は担保として自分の畑六八筆五町六反四畝七歩(上々畑三反九畝二〇歩・上畑一町一反四畝一九歩・中畑三町七反四畝一四歩・下畑三反五畝一四歩)を質地として書出している。当時の質入れの値段が一反につき上々畑が五両、上畑が四両二分、中畑が四両、下畑が三両二分となっており、計算すると二二五両余の担保となる。
また、保証人は親類・五人組・村役人が連署しているが、領主である旗本牧野左近までも保証人となっているという念入りなものであつた。
なお、専助は村内で農間余業として醤油醸造を営んでいるので、あるいは運転資金として借用したのかも知れない。

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