北本市史 資料編 近代

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第4章 社会生活と文化

第2節 文化

2 史跡・名勝天然記念物

312 昭和三年(一九二八) 九月 日本一の埼玉
  (『東京日日新聞』昭三・九・八)
 日本一の埼玉(十七)
  変り種揃ひ、
   県内の珍木、名木
   日く蒲桜、熊谷の桜、牛島の藤
ちよっと鳴り響いてゐるかも知れぬ、だ が数字のみでは現すことの出来ぬ日本一の植物とはどんなものであらうか
「蒲桜」と一と口にいったらすぐ想像出来よう、それは北足立郡石戸村字堀の内東光寺の境内を飾る名木わが国五大喬木の一つで山桜の一種、色は白にかすかな薄紅、之が春を得(笑)顔に咲き匂ふときはまるで桜の山のやうである。
滝沢馬琴の「玄洞(同放)方言」には蒲桜の由来が書かれてゐるが、その樹令七百年、根本廻り三丈一尺の太さから比較してみると全く同一物桜の幹が双方から相包んでゐる、青板碑は蒲冠者範頼の供養碑でその末孫が建てたものでこれには定(貞)永の年号がきざまれてゐる。その上同村が範頼の口女の生地である事等からしてもこの桜は範頼自身で手植した事も恐らく本当といってよからう。(後略)

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