北本市史 資料編 現代

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第1章 政治・行政

第2節 町制下の行財政

4 下水道

36 昭和四十五年北本都市計画下水道計画説明書
  (『都市計画事業認可申請書』)
  北本都市計画下水道計画説明書(抄)
§1 地形(略)
§2 下水排除の現況
本町の地勢は前記のようにほヾ平担(坦)であるが、下水排除の水面としては西端を流れる荒川と東端を南流する赤堀川があり、国鉄高崎線がその分水界をなしている。しかしこれら放流河川は市街地より遠く離れ下水を排除する施設としては在来の排水路を有するのみで、これら水路は不完全な堀割式で屈曲も甚だしく断面、勾配、系統等も不統一である。
近時市街地の発展に伴い人口増加による汚水量の増大をきたし、その結果常時汚水が溝渠に停滞し、蚊、はえ、並びに悪臭の発生源となっている。又これら汚水の滲透により下流住宅地域は井戸水の汚染を起す原因となり、保健衛生上好ましからぬ状態にある。更に上記汚水は降雨時には雨水と共に路上に氾濫し、街路の損傷並びに人家の床下まで浸水する等住民の生活環境に与える悪影響も少なからぬものがある。
§3 法定伝染病発生の状況
本町は従来上水道の設備がなく専ら井戸水が供給源であり、一般家庭の汚水も各戸毎に姑息的な吸込処分によるものが多く、従って伝染病発生の危険性が大きい。これに伴い本町としては都市の発展による人口の増加と将来の使用量増大、保健衛生上の見地からも上水道の必要性を痛感し、全町普及を目指し鋭意その実現に努力を傾注している。
下表は過去一一か年間における伝染病の発生数を示したものであるが、発生率が比較的低いのは住民の衛生思想はもとより本町が伝染病予防に万全の対策を講じてきた結果であるが、今後上水道の普及並びに下水道施設の完備に伴いその効果が一層期待される。(表−一略)
§4 下水道を必要とする理由
    (前略)
本町では昭和二十八年都市計画法の適用をうけ、
 (中略)
綜合的な都市計画を樹立し首都圏内衛星都市としての性格と機能を有する近代都市への脱皮が行なわれようとしている。
こゝにおいて急速な都市の開発に伴い近代的文化生活の基盤とも云うべき環境衛生の保持は勿論のこと豪雨による浸水の被害、汚水並びに工場廃水の放流による河川の汚濁、屎尿処理の困難化等の諸問題を解決する必要に迫られている。
本町としては現状のような排水の窮状を抜本的に改善すると共に、大局的に全町の地勢及び都市計画を考慮した下水道を決定し、排水の主脈をなす幹線下水道とこれに流集する枝線下水道網を配し、雨水の完全排除と将来終末処理場を有する系統的下水道計画を樹立し、上記諸問題の解決を計ると共に都市計画事業と併行して本地域内の下水道築造事業を行ってこそ綜合的な都市建設事業が遂行しうるわけで、事業の経済性、能率化の観点からみてもこの際下水道施設の建設に着手することは誠に機を得たものであると思われる。
§5 下水排除方式(略)
§6 計画排水区並びに面積
 (イ)計画排水区域
本排水区域は本町行政区域のうち西端を南流する荒川に直接放流出来る地域を除いた全地域を対象とした。当該地区は地形上国鉄高崎線により東西の二地区に分れており、東は区域界の東南を流れる赤堀川へ、西側は江川用排水路によって荒川へ放流している。従って排水区を東部並びに西部の二排水区とし、各排水区毎に局地的な地形、集水区域、市街地開発の状況、都市計画及び工事の緩急等により適宜排水分区を設けた。    (中略)
 (ロ)計画排水面積
上記計画区域内の面積を各排水区別に示とす次の通りである。
表―二 排水区別面積表
排水区名分区名排水面積
ヘクタール
摘要
東部排水区第一分区九五・〇三次期計画区域
第二分区一〇二・三〇
第三分区九一・一六
第四分区六五・八三計画並びに事業決定区域
第五分区六〇・七四次期計画区域
流入地区三八三・八〇将来計画区域
小 計七九八・八六
西部排水区第一分区四二・〇〇昭和三八年度事業区域
第二分区八七・三九計画決定区域
第三分区一九〇・〇一次期計画区域
第四分区四六・二九
第五分区一五三・一八
第六分区六三・二九
第七分区九五・九五
小 計六七八・一一
合 計一、四七六・九七計画決定次期将来
一九五・二二八九七・九五三八三・八〇
§7 現在人口及び将来人口(略)
§8 計画汚水量(略)
§9 計画雨水量(略)
§10 排水系統
 (イ)全体計画
本計画区域内の地形は前述のように南に傾斜しており、各排水区の下水は東部排水区が東寄りに、西部排水区は中央部に流集し、各流末は赤堀川及び江川用排水路に接続される。従って主要幹線は東部排水区は区域の東端沿いに、西部排水区は中央部を南北方向に配し、その終末に将来処理場を設けることゝした。又地形上各分区の幹線は自然流下が可能なため途中ポンプ場施設は必要としないが、主要幹線の最下流端では放流水面との間に水位差が生ずるので、雨水は終末処理場内のポンプ施設により放流することゝした。
 (ロ)排水系統
本町の下水道計画区域は地形上自から二つの排水区に分割され、更に各排水区毎に地形、集水地域、流下系統、工事の緩急等により数分区に区分した。
こゝに各排水区の主要幹線並びに各分区における幹線系統を示せば次のようである。
 「東部排水区」
東部排水区の主要幹線は鴻巣市境の国道一七号線と新国道一七号線との間、北本町大字深井字権現堂四五七番地先より発し東へ流下して新国道一七号線の西側を左に折れ、大字深井字善徳一〇三番地先で再び東へ向い、新国道を横断して大字深井字善徳一二七番地先で右折、鴻巣市境沿いに南下、各分区の幹枝線を流集しつゝ大字常光別所字上手四七七番地先の終末処理場予定地に至る。(中略)
 「西部排水区」
西部排水区は中央低地に主要幹線を南北に配し、東西より各幹枝線を合流しつ'南下し、最下流端の処理場予定地(北本町大字下石戸字蔵引四七番地先)まで導き江川用排水路に放流する。本排水区の雨水も流末において自然放流不可能なため処理場内のポンプ施設で排除する。(中略)
§11 下水管渠並びに付属設備(略)
§12 雨水吐き室
本計画による各排水区内の下水は合流管渠により流集しつ、下流へ導かれるが、途中に適当な放流水面が得られないので、その流末に予定される終末処理場内で雨水はポンプ施設により排除すること、した。従って雨水吐室は本計画区域には設けない。
§13 吐き口
上記のように本計画では雨水吐き室を設けないので、吐き口としては終末処理場よりの放流先に設けることとなり、最終的には東部及び西部排水区に各一ケ所の吐き口を有するわけである。
§14 ポンプ場施設
各排水区域内の管渠はその地区毎の地形に従って配置したので、縦断的には地表面勾配に沿って流下させることが可能で、局部的な地点を除けば全般に掘さく深の増大もみられず、従って途中ポンプ場施設は設けず放流水面近くに予定される終末処理場内に設けるのみとした。
§15 終末処理場施設
終末処理場は全体計画としては将来各排水区を処理区としてそれぞれの地区に設ける予定である。処理場予定地としては東部地区は赤堀川右岸の北本町大字常光別所上手四七七番地先に、西部地区は大字下石戸字蔵引四七番地先で江川用排水路に放流する地点とした。
なお処理方式としては中級処理(高速散水沪床法)を採用する予定である。
§16 工期
本町の財政及び本計画区域内の市街地開発状況、都市計画、工事の緩急等を考慮し、東部排水区第四分区を事業区域に定め五か年継続事業とした。(後略)

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