北本市史 資料編 現代
第6章 教育と文化
第3節 教育活動の展開
178 昭和四十一(一九六六)年十月 中丸小学校理科教育振興資金を受賞(『広報きたもと』第五一号)
中丸小が県下初の受賞
理科教育振興資金
このたび中丸小学校は、理科教育優秀により全国多数の応募校の中から、昭和四十一年度ソニー理科教育振興資金贈呈校に選ばれました。
これは、昭和三十一年度から全国小中学校理科教育振興のために毎年ソニー社が行なっている事業で、本年で十一回目を数えますが、埼玉県下の学校で入賞したのは、こんどの中丸小学校が初めてです。
ソニー社の振興計画に参加の全国小・中学校で、特に理科教育について設備や実験を充実し近代化を図ると共に、学校の特殊性を考慮して実情にそくするよう整備し、その実績をあげている学校について、審査員の慎重な審査によって決められるもので大変に水準の高いものであります。
資金の額は最優秀校に百万円(小・中学校各一校)と、優秀校に二十万円(本年度は小学校三十三校、中学校七校)が贈られます。
贈呈式は、十月二十九日午前十時から東京ソニー本社講堂で行なわれました。当日は臼田校長が出席して(中略)賞状と、規定による振興資金二十万円がソニー社長から贈られました。
「思考力を伸ばすための施設設備の活用」
埼玉県北足立郡北本町立中丸小学校
学校長 臼田博吉㊞
〃 PTA会長 大島 茂㊞
指導上の重点
校区は、二三条の用水堀のほかは、山も川もない極めて平坦な変化に乏しい地形で、自然からの刺戟が少なく、従って自然物を通して実践的に学習する態度に欠け、観念的な知識で早合点する傾向があった。
そこで、科学時代に生きる児童に、できるだけ豊富に自然を再現してやって、しっかりと自物に目を向けさせ、自然に働らきかけることによって情操豊かな実践力、創造力を育てたいと、三七年度より創意と努力を続けてきた。
(一) | 自然の事象に親しませ、自然から学ぶことによって、豊かな人間性を培う |
◦ | 動物愛護の心情をはぐくむ |
・巣箱かけ・野鳥のえさ台・小鳥舎・飼育観察池・ふ化池・水族館 | |
◦ | 美化を兼ねた豊かな環境づくり、 |
・学校園、・学級園、・温室・育苗床・花一ぱい運動・一人一鉢運動 | |
◦ | 自然愛護の発展的目標 |
低学年 生物に親しみ、かわいがって育てる | |
中学年 生物の生活を知り、かわいがり自然物を大切にする。 | |
高学年 自然愛護の心を育て、自然資源の保護と利用に関心をもつ | |
(二) | 科学的思考力を伸ばす。 |
◦ | 子どもがものを認識する実態を知り、ものの存在、状態、性質を理解できる見方、考え方、扱い方を育てる。 |
◦ | 前記の身についた能力を、次の学習の基礎とし、系統的に学習することによってより高次なものの見方、考え方、扱い方を伸ばし、創造力、観察力、実践力を身につける。 |
◦ | 自然の中の素材を教材として見た時、単に学問上の分野という見方で整理するのではなく、児童の認識の実態に即して配列し、構成する(資料(二)参照)。 |
(三) | 実験観察等実践的活動の重視 |
◦ | 実験の個人化を図り、創造的思考をねる。 |
◦ | 単なる活動に終ることなく、仮説を立て、実証していく、目的的に活動する。 |
◦ | 実験観察の基本的技能の習熟に心がけ、着実に科学的方法を身につける。 |
(四) | 学習経験をもとに、発展的に、応用的に、積極的な実践力を高める。 |
◦ | 自然の事象に疑問をもち解決しようとする態度をもつ(植物採集会等)。 |
◦ | 積極的に新事実にとりくみ、生きて働らく能力を高める(星の観測会等)。 |
◦ | 根気強く、協力的に、科学的方法で問題を解決していく子供(継続観察、作品発表会)。 |
(後略) |