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第3章 農業と川漁

第2節 水田と稲作

3 稲作の過程

(二)植 え 田
田 植 え
六月二十日ころから始まり、おおよそ六月いっぱいに終った。田植えは七月初めのハンゲ(半夏生)を過ぎて行うと、一日に米が三粒減るといわれ、これ以前には終るようにしたのである。
田植えは苗取りから始め、午前中にその日の分を取り終った。苗代の長さにして一〇間分の苗を午前中に取れなければ一人前ではない、あるいは二人で苗取りから始めて一日に一反植えられなければ一人前ではないなどといわれていた。苗取りは両手で根元をつまむようにして行い、手が一杯になると根同志を打ち合わせて洗い、土を落として一把に朿ねた。一反植えるのに必要な苗は、約四〇〇把という。田植えの方法は、すべてを植え田で作るようになってからは、三サクか五サクをヒトッパカとして縄を張り、これを基準に植えた。なかには縄を張らず、摘み田のようにウネヒキ棒で筋を引いて植える人もあった。
田植えの禁忌伝承については、ほとんど確認できなかったが、苗代を作った田に糯米を植えてはいけないといわれている。

写真24 苗とり

(根元をつまんでとる 常光別所)

写真25 田植え

(縄を張ってその間に植えている 高尾)

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