実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第1編 何にも勝る体験学習

学校だけでは子供の教育はできない
多様化した現代社会で、子供たちが生きる力を身につけるには、もはや学校だけでは対応しきれない時期にいたっている。昔から唱えられていた「読み・書き・そろばん」の、学習力さえ学校教育の場では十分行われてはいない。瞬時に世界中へニュースが伝わる現代社会で、パソコンを使うことができない教師があふれている。一方の子供たちは、携帯電話を操り、家庭へ帰ればゲーム機を含む、さまざまなコンピュータを、遊び道具として使いこなしている。教える側は自信をなくし、教わる側は勝手なわがまま放題。もはや異常社会になりつつあるが、学校教育界は旧態依然のままだとすると、何を頼ればよいのであろうか。
工藤日出夫は言う。「こうしたときにこそ、軌道修正の力を発揮するのが市民力である」と。
近年の親は、学校の教師と同じ学歴を保持し、専門知識もそれほどの変わりがないという。なぜ、この大きな財産を生かそうとしないのか。学校を出るとすぐ、教師として現場に立ち、一国一城の主然としていても、一般社会生活の経験がなくて、どうして子供の指導をしていくことができるのか。
子供の教育を学校にだけ任せる(押し付ける)のでなく、地域ぐるみ・家庭ぐるみで取り組まなければならないのは、当然の帰結ではないのか。
私たちが子供のころは、すべての子供は地域の子供として育てられた。生活上のしつけ教育は、近所のお年寄りをはじめとする大人たちが、どこの子供であっても当然のごとく、礼儀作法や目上の人を敬うことを教えていた。子供たちもそれを当たり前と思ってもいた。現代は、核家族化とか個人主義とか、いろいろな理屈をつけながら、他人に対して無関心になってきた。場合によっては「知らない人と口を利いてはいけない」というしつけまでされている。
この社会システムの変換が、さまざまな矛盾を生み、他人に対する気遣いを無視する社会を構築してしまっているのではないだろうか。

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