実録まちづくりにかける集団
第2編 「わぁ、つくしんぼみたい、わたしのおうち」
あそびの学校が歩んだ十三年
六 自分で考え創り出すこと(遊びの学校実践活動から)
ダンボール箱で燻製つくり遊びの学校で実施している料理には、さまざまなものがある。簡単なキャンプ用の食事、生魚の料理、手打ちそば、うどんつくり、飯盒炊飯、ソーセージつくりや燻製料理など。いずれも、リーダー自身がやって楽しいものばかりである。中には、子供には少し難しいかな、と思えるものもあるが、取り組んでみると、案外子供たちはついてくる。やらせないでいるからできないだけで、子供は子供なりに、しっかり挑戦してくる。
家庭でもできるような、簡易型の燻製器を作り、肉でも魚でも家庭にある材料で、できるようにしようというものであった。このプログラムは、西條・佐々木コンビの得意とするものであった。タバコのカートンケースを使って燻製器を作り、桜のチップを燻して使うというものであった。
吉田が、近くのタバコ屋に話をして、大量のカートンケースを手に入れた。通常はつぶして資源回収に出すものだということで、喜んで提供してくれた。箱を立てて、天井部分と横面に開閉式の窓を作る。横面の窓の少し上部に、竹串を数本刺し通して、材料をぶら下げる桟にする。燻剤を入れる皿は、四リットルのオイル缶を二つ割りにして床に置く。燻材は、桜の枝をチェンソーで細かく引いたものを峰尾が作った。燻皿の上から、カートンケースをかぶせれば燻製器は完成である。
いよいよ、燻製品の調理である。佐々木・西條コンビの本領発揮である。豚・鶏・牛などのブロック肉に、塩・香辛料などをすり込んで寝かせておく。適当な大きさに切り分けたものを、金属フックに取り付け、燻製器の中にぶら下げる。
燻皿の中のチップに着火。チップが燃え上がらないように注意しながら燻していく。煙の出具合は、箱の上部の窓で確認する。箱の中の温度が上昇し、煙がうまく燻製品にからみつく。一時間ほどで火を止め、そのまま追燻する。二〇分ほどで取り出すときれいに燻されたおいしそうな仕上がりを見せる燻製品が出来上がっていた。