実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第2編 「わぁ、つくしんぼみたい、わたしのおうち」
   あそびの学校が歩んだ十三年

七 楽しくなればついてくる子供たち

刃物は危なくない、便利な道具
平成一〇年は、全国的にバタフライナイフによる非行が注目された年。全国いっせいに、子供の前からナイフをなくす運動が繰り広げられることになった。もちろん私の町でも同様に、市教育委員会は必死になっていた。しかし、私たちはこの年、あえてナイフを使わせるテーマを取り入れた。
なぜ、便利な道具を危険と呼ぶのか、正しい使い方を教えないで禁止するのは、大人の怠慢・身勝手ではないのか。それよりも、危険を知ることで、安全を学ぶことの大切さを、なぜ伝えようとしないのかと、私たちは考えた。
テーマを「刃物を使いこなそう」とし、色々な種類のナイフを購入した。その使い方の違いや「なぜ危険なのか、どうすれば安全に使うことができるのか」を中心としたプログラムを組んだ。もちろん、刃物の持ち方や道具を使うということを、基本から指導した。
たとえば、竹工作で竹ひごを作らせるとき、
「ナタを使うときは周りに人がいないことを確かめてから使え」、
「のこぎりは用途によって使い分けよ」など、
竹を削る段になると「刃物は動かすな、竹のほうをを動かせ」、
「ナイフの刃先は人のほうに向けるな」、
「ナイフはひざで固定して使え」など、
こまごまとしたことまでを指導事項にいれた。
ペットボトルロケットを作ったときは、ボトルのカットが必要となる。このときペットボトルを安全にカットするためには、ナイフを固定する方が良いとして、カッターを固定する装置をリーダーが開発し、小学生でも安全に使える道具にした。
道具は、正しく使えば大変便利なものだが、間違った使い方をするから事故を起こす。「何が危険なのか、どうすれば安全なのか」は、いつでも私たちのテーマでもある。
指導者が、しっかりした見識のもとに実施すれば、子供たちは絶対に間違えることはない。教える努力をしないで、取り上げてしまうことなど、愚の骨頂であると私たちは考えている。そして、道具は持っている能力を最大限発揮できるよう、使いこなすことが肝心である。
ナイフや包丁は、「切れる」ことが第一の使命である以上、よく切れるように調整しておいた。切れない刃物は、かえって怪我をさせやすいことを、経験的にわれわれは知っていたからだ。

<< 前のページに戻る