実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第3編 「鼓群奮闘」
   北本太古かばざくら五千日の活動記録

第1章 北本太鼓誕生

曲が止まっちゃったよ
平成五年、北本太鼓は、埼玉県太鼓連盟に加盟。平成四年・五年と県太鼓連盟が主催する「桴の祭典」を見て、その技量のすばらしさにあこがれると同時に、いつか肩を並べたいと思っていた。
チャンスは意外と早くやってきた。平成六年二月、狭山市民会館で行われた県太鼓連盟主催の、「第三回桴の祭典」に出演しないか、という声がかかった。これまでは、市内で行われていた小さなイベントに出ていただけだったが、いよいよ市外での公演である。
舞台衣装が作られ、練習は桴の祭典に向けたものに絞られた。何度も何度も稽古を積んだ曲を引っさげて、雪の残る寒い日、狭山市民会館に、初舞台を踏んだ。発団当時からいたメンバーに加え、太鼓塾の修了生とともに舞台に上った。演目はもちろん、組曲かばざくらから「根の章・幹の章・花の章」である。根の章・幹の章と順調に演奏は進んだが、花の章でそれはおきた。稽古中にも時々あったことだが、曲の途中で全員の手が止まってしまった。出演者はもちろん、舞台袖にいた団員も一瞬青ざめる状態ではあったが、気をとりなおして演奏を続け、最後までどうにか終えることができた。しかし、会場からは大きな拍手をいただいた。何のことはない、聴衆からすれば「一瞬の間を入れる曲だったのだ」という解釈であり、失敗したとわかった人は、誰もいなかった。このとき初めて、団員たちは、舞台というものの怖さと奥深さ、曲の理解の難しさを知った。

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