北本の仏像
Ⅱ 各地区の仏像
2 石戸地区(旧石戸領)
観音堂
観音堂 高尾1478 →(寺院詳細)
沿革不詳。『風土記稿』には、本尊十一面観音、高尾山観音院妙音寺と号せど、もとより堂にして本山等はなし、と見える。
【木造十一面観音坐像 付胎内仏】
観音堂 木造十一面観音坐像
〔法量〕 像 高 33.9 膝 張 21.0 膝 奥 19.0
観音堂本尊。通形の十一面観音像で、頭体部を一材から造り、膝前は別木、頭頂の弥陀化仏及び変化面は各々別材からなり、柄差とする。その素朴な作風は素人仏師の手になることを思わせるが、背面に小さな内刳を施し、そこに像高5.1センチほどの銅製の十一面観音懸仏を納入しているのが注目される。懸仏は本体と蓮台を各々別鋳して、のちにロウ付とし、本体裏側腹の辺りに柄を鋳出している。その形状から推すと、室町末期頃の製作になるものであろう。内刳の蓋板の裏側に「享保十六年(1731)亥二月三日 願主順意」といった墨書銘があり、造立時期を明らかにする。願主の順意は、前に紹介した川岸阿弥陀堂の奪衣婆像にもその名を見せており、当時この辺りで熱心な信仰活動を行った人物と思われる。
観音堂 背 面
観音堂 胎内納入仏
観音堂 蓋板裏銘文