北本のむかしばなし 伝説や昔話

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キツネにかされた話

あるお大尽だいじんのうちで作番頭さくばんとうをしていた人が、自転車に乗って鴻巣に肉を買いに行った帰り道のことです。谷足やだり鉄砲宿てっぽうじゅくざかいのリンゾウぼうの坂までくると、急に自転車が重くなりました。「あれえ、またあのキツネだなあ。」 重くなったわけはすぐにわかりました。自転車を止めて 「この野郎やろう、またいたずらするきだなっ。」 と言って、たばこに火をつけて自転車に乗ると、もとのように軽く走れました。
キツネはたばこがきらいなのです。
キツネにかされた話といえば、こんな話もあります。 ある夜、高尾の若者わかものが、一人で吉見へ夜遊びに行った帰りのことでした。江和井えわい の土手の切れたところまできたら、きれいな着物を着たおばあさんがいました。こんな時間に、こんな所で何をしているんだろうとふしぎに思いました。よく見ると、近くの家のおばあさんのようでした。「上手うわでんちのおばあさんかね。」と声をかけたところ、フッと消えてしまいました。
おどろいた若者わかものは、すっとんで家に帰り、ふとんにもぐりこんでしまいました。次の日の朝、おそるおそる土手まで行ってみたところ、そこには大きなキツネのあながありました。

(1)作番頭………大地主などに、農作業のためにやとわれている人たちのなかの責任者せきにんしゃ

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