北本のむかしばなし 伝説や昔話
キツネの嫁 入り
高尾のおじいさんが話してくれました。
わしらあ子どものころ、よく見 たもんだよ。ぴっかり、ぴっかり、五つも六つもちょうちんのような光が、向こうの土手の方に。ぴっかり、ぴっ かり、ついたり、消えたり。高くなったり、ひくくなったり。「あれはキツネの嫁 入りだな。」といったもんだ。
今の吉見町の久保田新田 あたりだったかなあ。
冬のまっ暗な晩 、土手のあたりを、ゆったりと、ゆらゆらゆれながら左の方に動いていったよ。赤っぽい色をしていて、一〇センチくらいのまるい形だったなあ。キツネのことを、むかしはオトカって言ったんで、キツネの嫁入りのことをオトカッピ(オトカの火)という人もいたっけ。オトカが、ふつうのオトカの何倍 も生きて、人をだます大オトカになり、はっ、はっとはく息が、ぴっ かり、ぴっかり光って火の玉のように見えたんだってさ。
わしらあ子どものころ、よく見 たもんだよ。ぴっかり、ぴっかり、五つも六つもちょうちんのような光が、向こうの土手の方に。ぴっかり、ぴっ かり、ついたり、消えたり。高くなったり、ひくくなったり。「あれはキツネの
今の吉見町の
冬のまっ暗な