北本のむかしばなし 伝説や昔話

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竜燈杉りゅうとうすぎ

江戸時代えどじだいのはじめごろ、高尾の氷川神社ひかわじんじゃ境内けいだい大杉おおすぎがありました。この大杉は、神様かみさまが天からおりてくる木だといわれていました。
ある夏の夜のことでした。村びとがこの大杉の近くを通りかかったとき、とつぜん目にしたのは、たくさんのかがり火に赤々とてらされたように光をはなつ大きなりゅうでした。らんらんと光る強いまなざしを天に向け、ゆったりと大杉をまき、体をくねらせながら天にのぼっていくのでした。
このおそろしいようすに、村びとは何か悪いことでもおこってはたいへんだと思い、すぐに氷川神社を守っていたお寺に知らせました。住職じゅうしょくもこの話におどろき、とび出してみました。いままさに、竜は最後さいごのかがやきをのこしながら黒雲の中に消えいるところでした。
この竜がのぼった大杉は、数十年後、秋の大風で根もとからふきたおされてしまいました。いつもこの神社に守っていただいていた村びとは、たいへんがっかりしました。ところが大杉の根をほり起こしましたら、大きなあなができ、池になりました。そこで、村びとはその池の中に小さな島をつくり、お宮をたてました。それが今も見られる厳島社いつくしましゃだということです。

(1)氷川神社を守っていたお寺………日本では、むかしは神社の境内けいだい寺院じいんもありました。今のようにべつべつになったのは明治時代めいじじだいになってからです。
(2)厳島社………海上安全、商売繁盛しょうばいはんじょう守護神しゅごじんとして信仰しんこうされ、各地かくちにまつられている神社。

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