天神社の獅子舞
天神社の獅子舞は、二月十五日と十月十五日の祭りの日に石戸宿の天神社で行われます。赤いうるしぬりの牝獅子一頭に、黒いうるしぬりの雄獅子二頭が登場します。雄獅子は中獅子とよばれるものと、ホウガンとよばれるものがあります。
数人でふく篠笛にあわせて、獅子が腰の太鼓を打ちながらはげしく舞います。牝獅子・中獅子・ホウガンの三びきがそれぞれ中心になって踊った後、 三頭でなかよく花笠を見て歩き、その後花笠にかくれた牝獅子を二頭の雄の獅子が取り合うという内容です。三頭の獅子のほか、猿田彦(サルバカとかサイリョウとよびます)が登場します。獅子の先に立ってみちびく役ですが、ふざけたしぐさで人びとをわらわせています。
ほかに拍子木を打つ人一人、ほら貝をふく人二人、花笠をかぶる人四人などが登場します。花笠をかぶるハナガサッコは子どもの役目で、頭に花笠をかぶり、手には竹をぎざぎざにけずって作った、こするとサラサラとなるササラ(簓)という楽器を持ちます。ササラにあわせてまうので、獅子舞のことをササラともいいます。
獅子頭はライオンや竜ににていますが、人間の生活をおびやかす悪い霊をしずめる力を持つとしんじられた空想の動物です。人びとは、獅子が神前でまうことによって、村が豊作になり平和にくらせるとしんじていました。