北本市史 通史編 自然

全般 >> 北本市史 >> 通史編 >> 自然

第6章 北本の生物

第2節 低地の生物

1 低地の植物

北本市の低地の植物は台地を開析(かいせき)した谷地、市西部の荒川の氾濫(はんらん)原、および市東部の元荒川の低地に分布する。
市西部の荒川に注ぐ台地を開析した谷地は水田として利用されてきたが、現在は休耕田、埋め立てて造成した畑、荒地、宅地に変わりつつあるところが多い。市内石戸宿や高尾には湧き水のある谷地が残されており、ここでは貴重な植物が多く生育している。谷地での希少な植物としてはRDB (レッドデ—タブック)にあげられたオオミクリ、タコノアシのほか、ウキゴケ、ミズワラビ、エゾノサヤヌカグサ、アオコウガイセキショウ、クララ、ツリフネソウ、キツリフネ、ハンゲショウなどがある。
荒川の氾濫(はんらん)原の多くは水田として利用されている。荒井橋近くの休耕田ではオギやカワヤナギなどが優占(ゆうせん)し、セイタカアワダチソウ、ホソバヒメミソハギなどの帰化植物も増えている。貴重な植物としてはタコノアシやガガイモなどが見られる。旧荒川である蓮沼は浮葉植物や挺水植物(ていせいしょくぶつ)、沈水性の植物がよく生育している。とりわけヒシの仲間であるヒシ、メビシ、オニビシやタコノアシ、ゴマギなどが残っており、自然環境の状態がよく保存されている。
市東部の元荒川沿いの低地は水田として利用されてきた。水田の植生はウリカワーコナギを優占種とする水田雑草群落である。また休耕田にはミズワラビ、オモダカ、コガマなどが生育しているが市西部に比べると希少植物はあまり多くない。

写真4 オオクミクリ

写真5 タコノアシ

写真6 谷地の景観 石戸宿

<< 前のページに戻る