北本市史 民俗編 民俗編一覧
第11章 伝説・世間話・昔話・諺
第3節 昔話
9 どっこいしょ(一)ある婿さんがお客にいったところがね、うんまいあんころ餅作ってくれたんですってね。あんころもちってのね。家まで、いつまで、言って行けるかと思って、忘れちゃしょうがねえと思って、「あんころ餅、あんころ餅。」ってゆいながら道を歩いたんだそうですよ。そうすると途中に、堀があったんで、とぼうとして「どっこいしょ。」っていったらね、そしたらあんころ餅忘れちやって「どっこいしょ餅、どっこいしょ餅。」それで家へ帰ってから、「今日はうんまいもん御馳走になってきた。どっこいしょ餅ごちそうになってきた。」っていったって、そしたら「ああそうかい。とうちゃん、それはどっこいしょ餅じゃねえ。あんころ餅じゃねいかい。」っていったら、「ああそうかい。あの堀、とぶとき、どっこいしょって。それでどっこいしょ餅になっちゃったんだ。」
こういう話でした。
それはそれで、いちがさかえ。
▽話者・・・新井宇一郎さん(荒井明治三十六年生)