実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第2編 「わぁ、つくしんぼみたい、わたしのおうち」
   あそびの学校が歩んだ十三年

二 北本市青少年育成市民会議からあそびの学校へ

ふるさと学習事業
青少年育成市民会議がスタートしたころは、竹下登総理大臣の提唱による「ふるさと創生事業」の真っ只中であり、文部省でも、全国三十一自治体に委託した「青少年育成ふるさと学習事業」をすすめていた。工藤日出夫の提案により、いち早く応募し受託することとなった。
「青少年に夢と感動の機会を」をテーマとしたモデル事業は、以後さまざまな事業展開すると同時に、あえて責任者に名乗りをあげた私の、ライフワークとして取り組むことになる。
文部省から委嘱された事業は、①ふるさとを学ぶ学習会の開催 ②ふるさとの学習に基づく実践活動 ③ふるさと学習の発表会、という三つのテーマを備えていれば、内容的には何をしてもよいことになっていた。そこで、第一のテーマには、現在の「遊びの学校」の基本になっている、「なるほどザきたもとゼミナール・歴史コースと自然コース」を、第二のテーマには、創作和太鼓「北本太鼓かばざくら」の発団育成と、市内にある唯一の国指定天然記念物「石戸カバザクラ」に主題を求めた、創作劇「風のとおりみち」の上演、そして第三のテーマは、これらの活動発表と講演会を実施した。
「なるほどザきたもとゼミナール・歴史コースと自然コース」は、できるだけ地元で活動している、専門家に講師をお願いした。受講生は、市内の小学校に通う三年生から六年生約七〇名ほどであった。
歴史コースでは、北本市の埋蔵文化財を中心とした座学に加え、粘土で縄文式土器作りを実施した。講師には市教育委員会文化財担当者を迎え、実際の出土土器を参考にした造形をして、昔行われたであろう野焼きを行った。造形法がよくなかったせいか、野焼きの段階で八十%ほどが破裂してしまった。それでも一生懸命作った子供たちにとっては、すばらしい宝物であった。
自然コースでは、市内の山野を散策しながら、草花や昆虫を観察し、標本作りや自然アルバム作りを手がけた。身近に教材がこれほど豊富にあるということを、子供たちは初めて体験で学んでいた。また、運営の基本になる実行委員会には、青少年育成市民会議役員に加えて、当時の遊び仲間にも入ってもらい、すべて合議の中で進める形をとった。学習自体はそれぞれの講師にゆだね、実行委員はその準備と進行の手伝い、学習の環境作りを主体とした。

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