実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第2編 「わぁ、つくしんぼみたい、わたしのおうち」
   あそびの学校が歩んだ十三年

五 遊びを知らない親と教えることが出来ない大人

親もとりこんでしまえ
「遊びの学校」がスタートした頃の受講生は、小学校三年から六年の子供に限っていた。毎回子供を送ってきて、そのまま見学している親たちから、「自分たちもやってみたいな」という声があった。大人の参加も考えてはどうかというリーダーの意見があり、平成五年度から実施することにした。
初めての試みでどうなるかと思われたが、八組ほどの申し込みがあり、受け入れてみると、大変熱心に受講していた。これなら大丈夫と、以後毎年二〇人ほどの大人を受け入れ現在も続いている。しかし、親子で参加となると、どうしても自分の子供と同じ班になりたがることから、あえて親子兄弟は全部バラバラにして、別々の班に所属させることにした。最初は親子ともに、不安そうな顔をしているが、すぐに慣れる。それよりもまったく別な関係者として、客観的にお互いが見られることから、かえって学習効果があったように思う。
思わぬ学習効果が現れた。親子で参加している家庭では、その日の日課を終えて帰宅してからも、家族で同じ話題での団欒が出来るようになったのである。すると、学令期前や参加学年に満たない兄弟たちも、参加したがるのである。私たちは、こうした要求の場合、材料に心配のない限り、親が面倒を見ることを条件に、受け入れることにしている。要は、親の責任で参加していいということである。子供たちは、親の行動を見ながら覚えていく。子供の間からこんな感想の声を聞いた。
「家のお父さんて物を作るときカッコいいんだ。家ではあんなに真剣な姿見たことがない。」
意外なところで父親株のアップである。

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