実録まちづくりにかける集団

北本この人 >> 実録まちづくりにかける集団

第3編 「鼓群奮闘」
   北本太古かばざくら五千日の活動記録

第4章 再びのアメリカ

成田の税関はフリーパス
すべての日程を終え、成田に到着したが、ここからがまた大変な問題があった。私たちが持参した太鼓を、どうして税関を通し、トラックまで運ぶかである。太鼓は私たちの手荷物と同様に、荷受け口に出されるが、そこから税関を通り、外にいるトラックまで運ぶのは、すべて私たちの仕事だった。空港内には、太鼓を乗せられるほど大きな台車が無い。手荷物用のカートがあるだけであり、それに二〇〇㎏近い太鼓の箱を乗せて、どうやって表に出すかは大変な難問だった。人手が必要だが、自分達の手荷物もある。
係官に
「取りあえず手荷物だけを通してから、再び人間だけ中に入れてくれませんか」
と尋ねたところ
「規則で、いったん表へ出た人を中に入れるわけにはいきません」
という返事。
「じゃあ、あの大きな太鼓はどうなるの」
と詰め寄ると
「わたしに言われても分かりません。あそこの偉い人に言って下さい」
ということだった。
さっそく掛け合ってみると、私たちの真剣さと人柄の良さを見たのか、ややあって「いいでしょう、取りあえずみんなの荷物を外に出して、必要な人数だけ中に入れましょう」
ということになった。
そこで、団員全部を集め説明し係官に申し出ると
「申告するものは持っていませんね」
と尋ねただけで、全員の手荷物は、パスポートの確認もなくそのまま外へ。そして、次に大きな太鼓を次々と運び出したが、これもノーチェックとなった。メンバーは汗だくだった。
「日本はいいなあ、言葉通じるから」が最後の感想だった。

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