北本の守り札 まえがき等

社会2 >> 北本の守り札

 刊行に寄せて

北本市教育委員会教育長 清水 隆
都心から四〇キロメートル圏内に位置する北本市は、昭和四〇年代から急速に都市化が進み、かつての農村から閑静な住宅都市へと大きく変貌してきました。その間、草葺きの民家は次々と新しい住宅に建て替えられ、多くの民俗資料が散逸の危機に瀕してきたのです。市教育委員会では、昭和五三年度から市史編さん事業を開始し、散逸しつつある古文書や民俗資料などの多様な地域史料と資料の収集に努め、事業が終結した後も継続してこれらの調査と保存に努めて今日に至っています。
本書に収録した「守札」は、まさにそうした民家の解体に伴って発見され、市教育委員会へご寄贈いただいた資料を中心に整理したものです。平成一ニ年度から平成一四年度にかけて、守札が市内の石戸宿、本宿、荒井地区の旧家から次々と発見され、その数は一八四三点という膨大な数にのぼります。これら守札の一枚一枚には、当時の人々の様々な願いや祈りが込められており、当時の信仰の実態をうかがい知る上でとても重要な資料群ということができます。
本書が市民の皆様の地域学習に利用されるとともに、民間信仰や民俗文化研究に大いに活用されることを心から念願する次第です。
最後になりますが、本書の刊行にあたり、資料のご提供や調査にご協力下さいました関係各位に厚くお礼を申し上げ、刊行のあいさつといたします。
令和二年三月二七日

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