北本の守り札 守札の概要と分類
第1章 守札の概要と分類
第3節 守札の分布
(一) 分布の概要鈴木家・関根家・新井家が所蔵していた守札一八四三点を対象に、それぞれ発行元の社寺と圏域の関係を整理したものが表1である。
このうち鈴木家所蔵の一五一〇点では、一里(四キロ)圏内に三一六点 (一三社寺、九四種類)で全体の割合は二〇.九%、県内が三一九点で二九.一%、関東地方が四〇九点で二七.一%、関東地方以外が一四三点で九.五%を占め、発行社寺不明の守札は三二三点のニ一.四%となっている。図2は圏域別の割合を円グラフで示したものである。なお、鈴木家が所在する石戸宿六丁日の放光寺(青龍山梅林院)は五六点(九種類)、これに隣接する石戸宿天神社は五三点(五種類)とさすがに多く、合わせて一〇九点となる。
鈴木家に対して関根家の守札は地元のものが少なく、関東圏内の守札が多い。新井家では地元の守札が多い傾向にある。
なお、鈴木家で三〇点以上の守札が認められた社寺を抽出すると表2のとおりである。一里圏内では市内下石戸上の真福寺が六五点(三二種類)、同石戸宿の放光寺が五六点(九種類)、同石戸宿の天神社が五三点(五種類)、桶川市川田谷の泉福寺が五五点(二五種類)、荒川を隔てた川島町正直の潮音寺が三一点(六種類)で、四寺一社を数える。
県内ではさいたま市大宮区の氷川神社が八〇点(二六種類)、秩父市の三峯神社が七八点(一三種類)、さいたま市岩槻区の愛宕山大善院が三七点(四種類)となっている。
関東圏では神奈川県の大山阿夫利神社が一一四点(一九種類)、千葉県の成田山新勝寺が一一ニ点(二五種類)、東京都の御嶽神社が五三点(二七種類)、群馬県の榛名神社が五一点(一七種類)となっている。
表1 圏域別守札数
発行地 | 枚数 | 割合% | |
---|---|---|---|
鈴木家 1510点 | 一里圏内 | 316 | 20.9 |
県内 | 319 | 21.1 | |
関東 | 409 | 27.1 | |
全国 | 143 | 9.5 | |
不明 | 323 | 21.4 | |
関根家 166点 | 一里圏内 | 6 | 3.6 |
県内 | 32 | 19.3 | |
関東 | 77 | 46.4 | |
全国 | 22 | 13.3 | |
不明 | 29 | 17.5 | |
新井家 167点 | 一里圏内 | 83 | 49.7 |
県内 | 2 | 1.2 | |
関東 | 34 | 20.4 | |
全国 | 1 | 0.6 | |
不明 | 47 | 28.1 |
図2 圏域別守札数と割合
社 寺 名 | 種類 | 枚数 | |
---|---|---|---|
一里圏内 | 真福寺 | 32 | 65 |
一里圏内 | 放光寺 | 9 | 56 |
一里圏内 | 石戸宿天神社 | 5 | 53 |
一里圏内 | 泉福寺(桶川市) | 25 | 55 |
一里圏内 | 潮音寺(川島町) | 6 | 31 |
県内 | 氷川神社(さいたま市) | 26 | 80 |
県内 | 三峰神社(秩父市) | 13 | 78 |
県内 | 大善院(さいたま市) | 4 | 37 |
関東 | 阿夫利神社(神奈川県) | 19 | 114 |
関東 | 新勝寺(千葉県) | 25 | 112 |
関東 | 御嶽神社(東京都) | 27 | 53 |
関東 | 榛名神社(群馬県) | 17 | 51 |