北本市史 通史編 近代

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第2章 地方体制の確立と地域社会

第2節 農事改良と農業の振興

1 農業団体の結成

石戸村農会
石戸村農会の始まりは、明治三十年(一八九七)九月に創立された桶川町三か村組合農会(桶川町、石戸村、川田谷村、大石村)である。その後、同三十五年に組合農会は活動上不便であるとして解散し、同年十二月二十四日石戸村農会が設立された。
本農会は会長一名、副会長一名、評議員五名、技手三名、常置委員二十七名、書記一名という体制であって年次総会は、毎年一回三月に開かれた。事務所は、下石戸上一五七五番地に置かれた。
ところで、石戸農会は、文字通り農事の改良発達をはかることを目的として事業を展開した。農事改良に関しては、講話や幻灯会を開催したり、技手による実地指導を行った。米、大麦、小麦など重要農作物に関しては、試作場を設け、品種改良に取り組んだ。特に、試作場は光線の透射がよく大気の流通の良いところを選定し、わざわざ道路に面して観覧に便利な地を選定して「石戸村農会第口試作場」という標杭をたてるほどの熱のいれようであったという。石戸村農会では、キリンビール会社との間で契約栽培を行い、改良されたゴールデンメロン種の大麦が賞賛(しょうさん)を博した。
農作物の種子・種苗や蚕種などの共同購入や肥料の共同購入の斡旋をすると同時に、自給肥料の奨励にもっとめた。また、副業として、養蚕・養豚・養鶏なども奨励した。

写真55 農産物品評会

(谷沢利一家提供)

各種品評会・共進会を開催し、農産物販売の斡旋などもした。また、その他耕地整理や産業組合に関しても積極的に取り組み、土地の灌漑(かんがい)・排水に関することや生産物調整や各種統計の調査に至るまで、農事に関するすべてのことを行った。
このような業績が認められて、昭和五年十一月には、「各種実行組合ヲ連絡統制シ、夙(つと)ニ米麦採種事業・農作物加工・改良農具利用・其他副業奨励ニ力ヲ致シ、業績顕著ニシテ他ノ模範トスルニ足ル」ものとして、帝国農会から表彰された。

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