北本市史 通史編 現代

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第1章 戦後復興期の北本

第4節 工場適地と企業誘致

1 シャウブ税制と埼玉県の工場誘致姿勢

昭和二十五年六月に突発した朝鮮戦争は、約三か年の長きにわたり、盟友諸国を巻き込んで行われた。この間、戦場に近い我が国の企業には、米軍から軍需関係の特別注文が殺到し、いわゆる朝鮮戦争特需景気を迎えることになる。時ならぬブームに沸いた日本の産業界は、昭和二十八年七月の戦争終結時には、第二次大戦前の水準にまで一挙に生産力を回復するという、異常な速さの立ち直りを見せた。工業生産力回復の速度は西ドイツの水準をしのぐものであった。しかし、この段階の工業発展は、立地条件に恵まれた臨海四大工業地帯に限られ、関東地方内陸部の北本地域までその恩恵をもたらすことはなかった。
一方、鉄鋼、石炭、電力の基幹三部門の復興を重視する国の産業政策ーーー傾斜生産方式ーーーと表裏一体の関係のもとに、シャウプ税制改革が実施される。その際、新規に設定された固定資産税の税源を企業に求める地方自治体によって、企業誘致活動が活発に展開されていった。

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