北本市史 通史編 現代

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第2章 都市化から安定成長へ

第7節 学校教育の発展と進む社会教育

3 社会教育の進展

図書館の充実
市民の教養の向上をはかるためには図書館の充実が不可欠な要素であることは言うまでもないが、北本にあっては図書館の整備は遅れていた。昭和四十八年六月になってようやく、中央公民館内に図書室が開設され、北本における図書館業務が着手された。しかし、この図書室は手狭であったため、蔵書数が五五九冊という少ない数しか並べることができず、図書館としての十分な機能を果たすことができなかった。狭いために書架(しょか)に十分な書物が並べられない状態だったのである。それを補うためには移動図書館も活用された。
中央公民館図書室は、翌四十九年四月、北本市立図書館と改祢されたが、余暇(よか)時間の増加などにより図書館機能の拡充を求める声が強くなり、同年八月、北本宿天神社(てんじんしゃ)近くの郵便局跡地(現在東部公民館)に、独立建物としての図書館が置かれることとなった。図書館は独立した建物になったことにより、従来より多くの蔵書をそろえることが可能となった。五十年三七九七冊、五十二年八五九一冊、五十四年一万三八六三冊、さらに五十七年には二万五九七二冊と蔵書数が着実に増加し(表54参照)、機能はしだいに充実するようになった。
表54 図書館蔵書数の増加  (毎年4月1日現在、単位:冊)
年次蔵書数年 次蔵書数
昭和48年599昭和56年22, 086
492,5165725,972
528,5915937,319
5311,0406053,120
5413,8636169,540
5518,393

(『北本市立図書館要覧』より作成)


北本市文化センターの建設にともない、図書館は昭和五十九年四月に文化センター内に移転し、名称も北本市立中央図書館と改称された。また、図書館としての機能もさらに向上し、多角的にもなった。まず、図書館としてのスペースが従来の五倍の広さとなり、蔵書数も約四万三〇〇〇冊に増加した。閲覧(えつらん)用に数人が座席に座れる程度だったものが、一般閲覧室、子供室、新聞・雜誌閲覧室まで備えられるようになった。このように、蔵書数の増加、閲覧室の拡大により当然のことながら利用者も増加し、前年の移転前と比較して約五倍と急増した。市民の求めるような機能が備わってきたことが、図書館利用者の急増を招いたのである。
貸出業務が軌道(きどう)にのると、他の業務にも力点が置かれるようになった。昭和六十一年六月からは鴻巣市との間に図書館の相互利用という画期的な業務が開始された。これは、鴻巣市と北本市の境界線に居住するため、鴻巣市の図書館を利用した方が便利な北本市民の声が端緒となったものであった。また、六十一年度からは障害者へのテープ貸出しや対面朗読(ろうどく)などが開始され、さらに、おはなし会という児童奉仕業務も行われるようになるなど、サービス面にも力点が置かれている。

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