北本市史 資料編 自然

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第7章 北本の動物

第1節 北本の陸生動物

4 昆虫類

主要な蝶類の科ごとの解説
(あげはちょう科)住宅地に植栽されるユズ、ミカン、サンショウなどのミカン科につくアゲハ、畑地のニンジンやパセリ、草地のセリなど各種のセリ科につくキアゲハは共に多産する。
ジャコウアゲハの記録は少く、一九八七年八月十二日に碓井徹氏が石戸宿で目撃したものが唯一である。食草のウマノスズクサの自生地の縮小による減少と思われる。
モンキアゲハは夏から秋に他地域から飛来する偶産種とされているが、北本市内で一時的に世代を全うする事例があるかも知れない。
(しろちょう科)ツマキチョウは一化性で、春季にのみ出現する。市街地からは消滅しつつあるが、高尾や石戸宿には普通に見られる。
幼虫がマメ科の雑草のカワラケツメイにつくツマグロキチョウは、発生の消長が激しい蝶であるが、食草の自生地の減少に伴い、絶滅するおそれがある。
(しじみちょう科)雑木林のクヌギ、コナラを食べて育つオオミドリシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミは、かなり広い林でないと生息していけない。北本市では林地の減少に比例するかのように、これらの蝶が少くなっている。ミズイロオナガシジミも同様である。
低湿地に自生するハンノキにつくミドリシジミは、荒川沿岸部に現在も生息地がある。
アセビ、ガマズミにつくコツバメ、イボタにつくウラゴマダラシジミの二種は貴重な蝶で、大宮台地の他の地域では絶滅してしまったと思われている。
アブラムシやキジラミが寄生している樹木に産卵し、成長の途中からクロオオアリの巣中で生活する特異な生活史を示すクロシジミは、一九六〇年代までは大宮台地の雑木林に点々と生息地が知られていたが、北本市においては、一九六五年七月十八日と一九六六年六月二十五日に、巣瀬司氏により下石戸下で記録された複数個体を最後として、その後は発見されていない。おそらく絶滅したと想像される。
(たてはちょう科)幼虫がカナムグラにつくキタテハが市内全域に多産する。
幼虫がスミレ頰につくヒョウモンチョウの仲間は激減し、オオウラギンスジヒョウモンとミドリヒョウモンの二種が希れに目撃されるにすぎない。
山地性のクジャクチョウは、一九六三年八月上旬に市内ニツ家で発見された。偶産記録である。
(じゃのめちょう科)ジャノメチョウとコジャノメのニ種は、最近になって大宮台地の他の地域からは姿を消してしまったと思われている希種である。
他の四種は各地に多産する。
(せせりちょう科)十数年前から関東平野ではまぼろしの蝶となってしまったミヤマセセリが、一九八八年五月一日に斎藤章氏により北本市石戸宿で発見された。この蝶は以前は市内各所の雑木林に多産したもので、今も林がかなり残存するのにほとんどの地域で絶滅してしまったが、その理由は不明である。

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