北本市史 資料編 現代

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第2章 北本の農業

第6節 高度経済成長と農業の近代化

高度経済成長政策の推進に伴う農工間所得較差の増大を解消するために、昭和三十六年(一九六一)六月に農業基本法が制定された。農業基本法の具体的狙いは、農業構造の改善と畜産・野菜・果樹の三部門を中心とする、選択的拡大生産の展開であった。これらの具体的目標の実現に向けて、地域的な施策として農業構造改善事業が導入され、また個別農家への施策として、経営部門別に設定された各種助成策や農業近代化資金助成法(一九六一)が打ち出された。
北本町でも曲がり角に立たされた農業の近代化・合理化を目指して、町ぐるみの取り組みがなされた。資料84は、近代化資金借入艘家に対する助成策であり、資料85・87は、ともに地域を対象とした農業構造改善事業である。前者は石戸地区で施行された国の改善事業であり、後者は中丸地区で実施されたいわゆる県単の改善事業である。
なお、資料89は、増加する兼業農家の労働力不足対策としての、また専業指向農家に対しては、プラスアルファー部門を導入する際の基盤づくりとしての意味をもつものであった。
北本町の農家が、農業労働力の流出や農産物消費動向の変化にみられるような経営環境の急速な変化に、どう対応してきたかについては、近代化資金の用途別把握ができなかったため、具体的に知ることはできない。しかし、資料86の講座計画をみると、畜産・果樹・施設園芸等の選択的拡大部門の導入・制度資金の活用・機械化経営の採用等々、北本の農家が抱えていた問題点だけは推察することができる。
ともあれ、こうした行政サイドの指導と農民自体の努力とが相まって、資料88に例示されるような施設園芸をはじめ果樹・畜産経営が、一部地域ではあるが、導入され定着をみるようになった。

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