北本市史 資料編 現代
第4章 商業の発展と買物動向
第1節 商業の推移と商業発展策
110 昭和四十四(一九六九)年五月 昭和四十三年度商工会事業報告書(『北本町商工会関係綴』)
昭和四十三年度北本町商工会事業報告書
自昭和四十三年四月 一日
至昭和四十四年三月三十一日
一 北本町商工会活動の概況
北本町も住宅団地構成に伴い人口の急激なる増加を見るに至り都市化の傾向がいちじるしく、これに伴って北本町をとりまく経済環境も大きく変貌をとげつつあります。
特に隣市町に大型店舗の進出とその影響であります。こうした事態に対処するためには、地方中小市町村の小売店は好むと好まざるにかかわらず、近代化への道を歩まざるを得なくなってきているのであります。数十余年前配給構成と固定化したお客の上に安定経営をしてきていた地方商店はそれによって覚醒され、他面において消費動向の変化に刺戟され、近代化に進み、加えて交通機関の発達道路の拡張整備、人口の流入、県の行政指導の要因があって、地方中小市町村自身の近代化につながるものといえます。
こうした流通革命の波ははげしい勢で進行中であります。この渦中にあって正しい現実の認識の上にたって将来への対策に真剣にとりくむことが急務であります。その意味において北本町商工会においては経営改善普及事業の実施にあたって、金融、税務、経営、労務等を中心とした綜合的な指導を行ってまいりましたが、即効的な対策に欠ける点が多くありましたが、持続的な指導によりそれぞれの問題点の解決に積極的な努力をして参りました。今後においても会員の皆様と共に力をつくした
いと考えますので、尚一層の御協力をおねが い申し上げ、始終熱心に寄せられた御協力に衷心より厚く御礼申し上げます。
二 事業別概況
一 組織
(1) 会 員
区分 地区 | 個人 | 法人 | 計 |
---|---|---|---|
仲 仙 道 通 り | 二二 | 一六 | 三八 |
駅 前 通 り | 三八 | 一五 | 五三 |
三軒茶屋通り | 三八 | 九 | 四七 |
北中丸 | 一七 | 一三 | 三〇 |
中丸小学校通り(一番街) | 二六 | 一七 | 四三 |
南仲仙道通り | 一八 | 一二 | 三〇 |
解脱役場通り | 五八 | 一五 | 七三 |
石 戸 南 部 | 一三 | 六 | 一九 |
石 戸 中 部 | 二三 | 一三 | 三六 |
石 戸 北 部 | 一三 | 五 | 一八 |
深 井 地 区 | 一〇 | 一五 | 二五 |
計 | 二七六 | 一三六 | 四一二 |
会 長 一名
副会長 二名
理 事 一三名
監 事 二名
(3) 総 代
通り名 | 員数 |
---|---|
仲仙道通り | 七 |
駅 前 通 り | 九 |
三軒茶屋通り | 七 |
北 中 丸 | 三 |
中丸小学校通り(一番街) | 七 |
南仲仙道通り | 四 |
解脱役場通り | 一〇 |
石 戸 南 部 | 三 |
石 戸 中 部 | 六 |
石 戸 北 部 | 三 |
深 井 地 区 | 五 |
合 計 | 六四 |
経営指導員 一名
指導補助員 一名
(5) (イ)事業
年月日 | 科目 | 事業内容 | 講師 |
---|---|---|---|
四三・四・一一 | 講習会 | 求人受理について(個別) | 大宮公共職業安定所 石川 龍夫 |
四・一七 | 理事会 | 役員改選について その他 | |
四・一九 | 講習会 | 店舗診断(個別) | 商業経営研究所 角 実 |
四・二三 | 講習会 | 労災保険事務取扱いについて(個別) | 大宮労働基準監督署 高橋 坦 |
四・二五 | 同 | 簡易帳簿の記帳の仕方(個別) | 税理士 神津 数身 |
四・二六 | 同 | 同 | 同 |
五・一六 | 同 | 大宮税務署青色申告係 渋谷 繁 | |
五・二二 | 総代会 | 一 昭和四二年度事業報告、収支決算承認の件 二 役員改選の件 三 昭和四三年事業計画 予算書等承認の件 | |
六・一二 | 講習会 | 店舗診断(個別) | 中小企業診断員 三枝 幸平 |
六・一七 | 同 | 労災災害防止基本計画について | 大宮監督署 田中 暁 |
六・一九 | 激励会 | 昭和四三年三月学卒就職者激励 | |
七・一〇 | 協議会 | 一 中元売出し開催の件 二 七夕開催の件 | |
七・二三 | 講習会 | 店舗診断(個別) | 商業経営研究所 角 実 |
七・二五 | 同 | 社会保険事務取扱いについて | 大宮社会保険事務所 石黒 直信 |
八・ 五 | 同 | 簡易帳簿の記帳の仕方(個別) | 税理士 神津 数身 |
八・ 六 | 同 | 設備近代化促進診断(個別) | 県外企業組合指導所 石橋 昇 |
八・ 八 | 同 | 経営診断(個別) | 中小企業診断員 戸田 延男 |
八・ 九 | 同 | 同(同) | 同 |
八・二〇 | 同 | 簡易帳簿の記帳の仕方(同) | 税理士 神津 数身 |
九・ 五 | 同 | 店づくりの勘どころ | 経営コンサルタント 長井 富雄 |
九・ 九 | 同 | 簡易帳簿の記帳の仕方(個別) | 大宮税務署青申係 田迎 武 |
九・一二 | 同 | 商店街運営の勘どころ | 商業開発診断協会 赤羽 幸雄 |
九・一六 | 同 | 簡易帳簿の記帳の仕方(個別) | 大宮税務署青申係 田迎 武 |
九・一七 | 講習会 | 同(同) | 同外一名 |
九・一九 | 同 | 労務衛生対策 | 大宮監督署 田中 暁 |
九・二〇 | 同 | 従業員の使い方のポイント | 東京商工会議所 桜井 忠夫 |
九・二六 | 同 | これからの経営 | 商業経営研究所 角 実 |
九・二八 | コンクール | 北本町商店コンクール | |
一〇・ 三 | 講習会 | 税務と経理のポイント | 本多税経事務所 本多 敬多 |
一〇・ 四 | 理事会 | 一 先進商店街視察の件 二 従業員表彰式実施の件 三 その他 | |
一〇・一〇 | 講習会 | 販売促進の勘どころ | 経営コンサルタント 安田 正夫 |
一〇・一五 | 投市 | 投市 | |
一〇・二〇 | レクリエーション | 働らく従業員レクリエーション大会 | |
一一・ 六 | 講習会 | 店舗、陳列、経営診断(個別) | 中小企業診断員 桑子 丈雄 |
一一・一二 | 理事会 | 一 従業員表彰内申書の審査 二 その他 | |
一一・一三 | 講習会 | 青色申告のあり方と帳簿記帳の仕方 | 大宮税務署青申告係 渋谷 繁 |
一一・一九 二〇 | 視察調査 | 厚木中央商店街(店舗、陳列、経営、お客吸収策等) | |
一一・二三 | 表彰式 | 永年勤続従業員、商店コンクール入賞者 表彰 | |
一二・ 二 | 講習会 | 昭和四三年度年末調整について | 大宮税務署法人係 横山事務官 |
一二・ 二 | 同 | 決算書作成について | 大宮税務署青申係 渋谷 繁 |
一二・ 九 | 同 | 同 | 同 脇谷事務官 |
一二・一二 | 同 | 商店繁栄のカギ | 東京中小企業指導協会 鴨志田敏治 |
一二・一三 一五 | 売出 | 歳末福引大売出し | |
一二・一九 | 講習会 | 簡易帳簿の記帳の仕方 | 大宮税務署青申係 田迎 武 |
四四・一・一六 | 会議 | 正副部長 一 商工会運営について 二 町政一〇周年商工会行事の件 三 その他 | |
一・二五 | 研究会 | 工場経営研究会(労災、失業、保険、中退加入、指導対策等) | |
一・三一 | 講習会 | 決算書作成の仕方(個別) | 税理士 神津 数身 |
二・ 三 | 同 | 同 (同) | 同 |
二・ 六 七 | 視察調査 | 保谷ガラス武蔵工場(安全衛生、労務監理(管カ)、生産性等について) | |
二・二一 | 理事会 | 一 商工業指導対策について 二 団地内出店舗対策について 三 その他 | |
三・ 一 | 講習会 | 申告と納税について(個別) | 大宮税務署青申係 脇谷事務官外二名 |
三・ 三 | 同 | 同 (同) | 同、田迎 武外二名 |
三・ 五 | 同 | 店舗診断(同) | 中小企業診断員 三枝 幸平 |
三・一四 | 同 | 従業員の勤労意欲をどう盛り上げるか | 佐藤経営研究所 佐藤 覚 |
三・一九 | 研究会 | 消費者と店主の懇談研究 | |
三・二二 | 講習会 | 求人対策、従業員管理について | 大宮公共職安所 島田 福三 |
三・二八 | 同 | 簡易帳簿の記帳の仕方 | 大宮税務署青申係 田迎 武 |
(ロ) | 調査研究及び発刊 |
◎ | 消費者買物実態調査 |
北本町立小学校 三校児童家庭一一六世帯を対象に調査表を配布調査 | |
(結果)お買物しらべの結果について(昭和四三年七月刊行) | |
◎ | お買物しらべ |
北本町婦人会二一〇人に調査表を配布調査 | |
(結果)買物調査結果報告書(昭和四四年三月刊行) | |
(ハ) | 金融のあっせん(昭和四三年度) |
あっせん金融機関 | あっせん件数 | 貸付決定件数 | あっせん総金額 円 | 貸付決定金額 円 |
---|---|---|---|---|
国民金融公庫 | 四一 | 四一 | 三九、二〇〇、〇〇〇 | 三三、二〇〇、〇〇〇 |
その他の金融機関(夏期) | 二 | 二 | 六〇〇、〇〇〇 | 六〇〇、〇〇〇 |
同 (年末) | 六 | 五 | 三、一五〇、〇〇〇 | 二、八五〇、〇〇〇 |
合 計 | 四九 | 四八 | 四二、九五〇、〇〇〇 | 三六、六五〇、〇〇〇 |
(ニ) | 大売出し |
北本町商工会歳末福引大売出し | |
開催日 昭和四三年一二月一三日 ― 一五日(三日間) | |
加盟店 八六店舗 商品寄贈店舗 六一店舗 二七五点 | |
(商店の協力と各組合、金融機関よりの協賛の寄贈多数あって、雨天ではあったが好成績を収めた) | |
協賛団体 | |
埼玉銀行北本支店 埼玉県信用金庫北本支店 | |
北本木材業組合 北本料理飲食店組合 | |
宅地建物協会北本支部 北本米菓組合 | |
鴻巣理容師会北本支部 北本町美容組合 | |
(ホ) | 表彰式 |
◎ | 消永年勤続従業員表彰式 |
昭和四三年一一月二三日 於北本町青年研修所 | |
北本町商工会主催により、永く事業所に従業員として業務に精励し労働能率の増進技能の向上に功績のあった者に記念品と表彰状を授与した。 | |
表彰者 | |
五年勤続 戸井田泉君 外六九名 | |
一〇年勤続 荒木昭次君 外六名 | |
一五年勤続 河野正夫君 竹島敏男君 | |
小谷野モト君 直井千鶴君 | |
二〇年勤続 松野直子君 | |
二五年勤続 関 みん君 | |
◎ | 消商店コンクール表彰式 |
昭和四三年一一月二三日 於北本町青年研修所北本町商工会主催により商店の店舗の近代化とサービスの向上、経営の合理化を促進し、買物も楽しく出来る商店を選ぶと共に、そのような商店を普及せしめることを目的に昭和四三年九月二八日に実施、これの優秀な商店を表彰し記念品と表彰状を授与した。 | |
町長賞 岩下薬局 | |
町議会議員議長賞 いづみ洋品店 | |
商工会長賞 野原菓子店 | |
埼玉銀行北本支店長賞 清水商事 | |
埼玉県信用金庫北本支店長賞 和田靴店 | |
商工会商業部長賞 富士見家食品 | |
(ヘ) | 投市 |
昭和四三年一〇月一五日一日間 於北本宿天神社境内 | |
参加店舗 一ニ店舗 | |
各商店の顧客の吸集と販売増進を計ることを目的とす。実施にあたり、消費者の協力により好成績を収めた。 | |
(ト) | 先進商店街視察 |
昭和四三年一一月一九日、二〇日 二日間 | |
厚木市中央商店街 | |
熱海市伊豆山温泉富貴屋に宿泊 | |
参加者 五〇名 | |
(チ) | 先進工場視察 |
昭和四四年二月六日、七日二日間 | |
入間市保谷ガラス武蔵工場 | |
安全衛生、労務管理等の状況説明及生産について工場内視察 | |
熱海市 熱海温泉 金楽に宿泊 | |
(中略) | |
昭和四四年度北本町商工会事業計画(案) |
我が国政府はここ数年間再三に亘り国際収支均衡是正のための金融引締めを行い、加えて資本自由化の進展により影響、後進国の追上等、中小企業をとりまく経済環境はきびしさの度合を加えております。
かような経済環境の中にあって、経済構造の変動に対処するためには画一的な指導ではだめで業種別に応じた企業のもつ特性を十分に把握して経済の変動についての適確な見透しの上にたって、企業の進むべき方向づけとそれに必要な諸対策について適当な相談指導が要求される。
北本町商工会は国や県の施策に副って商工会発足以来八年にわたり培かわれた商工会の組織を強固結集して最善の努力をすることが時代の急変に対処する指導団体の責務である。
本年度の重要施策として
(1) | 町内事業所(商業・工業・サービス業等)の商工会の加入を促進し以て組織の拡充強化を計り、財政基盤の確立を計る。 |
(2) | 小規模事業者に対し、税務の継続指導を強化し、記帳指導を実施する。 |
(3) | 人口増加による大型店舗進出対策の一環として経営の近代化合理化を促進する。 |
(4) | 青年部の組織の強化を図り活動を促進する。 |
(5) | 各対策部会活動の強化を図り促進する。 |
以上をとりあげて効果的に事業計画を推進する。 | |
(後略) |