北本市史 資料編 現代

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第5章 変貌する社会

第5節 都市化と道路の充実

146 昭和三十七(一九六二)年七月 陸橋架設の要望
  (『陳情請願関係綴』)
一、件名
 埼玉県北足立郡北本町地内一七号国道バイパス線に歩行者用陸橋の架設を要望する件
二、要旨
 北本町立中丸小学校地先一七号国道バイパス線を横断通学する八三〇余名の中丸小学校児童、一八〇余名の北本中学校生徒及び多数一般歩行者を交通禍から保護する目的をもって可及的速かに同地点に歩行者用陸橋が架設されるよう御配慮願いたい。
三、理由
 (1) 一般状況から
 中丸小学校地先一七号国道バイパス線の交通量は日に一五、〇〇〇台と称され尚逐日増加しつ、あって車輌は大型高速化し其の上道路幅員が広く成人歩行者であってもこれが横断は危険そのものであり、まして幼小な学童にとり日々生死を懸けたこの横断はむしろ能力を無視したものであるとさえ言わざるを得ません。
 (2) 特殊事情から
 要旨に述べたように同地点は八三〇余名の中丸小学校児童と一八〇余名の北本中学校生徒がこの危険な状況下に日々通学しており、学校当局並びに七〇〇余世帯父兄の心痛は実に目にあまるものがあります。バイパス沿線中他市町村に先んじて交通自動信号機が設置された事実はこの特殊事情が県当局にいち早く認定されたことを実証するものであって地元関係者の最も喜びとするところでありますが、ここにまことに遺憾なことはこの信号機を車輌運転者が厳守せず(停止線で止まらない。甚しきは赤で通過する)そのために不測の危険度がむしろ増大している事実であります。このため約七〇〇余名のPTA会員学校職員が毎朝夕立番に立ち児童生徒の補導に当っておりますが、立番者自身危険を感じている実情ではいつ痛ましい犠牲者が続出するか全くはかり知れないわけで遗憾心痛の極みと言う外なく、こゝに根本的な対策の切望される所以があるわけであります。
四、むすび
 人命が尊重され安んじて業に就ける保障が得られることは人間社会の最も基本的なことであってこれはまた政治の要締(請)でもあると思います。一、〇〇〇余名の学童、生徒が日々生命安全の保障なく通学し学校当局並びに七〇〇有余世帯の父兄が日夜心痛の限りを続けている現状は、単に義務教育遂行に支障があるばかりでなく本町三、〇〇〇有余世帯町民の不安に結びつくものがあり、これは全町民の到底黙視出来ない所であります。こゝに関係官公署機関が人命尊重と義務教育遂行の立場から我々陸橋架設同盟の切なる願いを理解され、要旨に述べた条項につき格別の御配意を下さるよう陳情致します。
 昭和三十七年七月五日
   埼玉県北足立郡北本町十七号
   国道バイパス線陸橋架設期成同盟
     (後略)

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