北本市史 資料編 現代
第5章 変貌する社会
第5節 都市化と道路の充実
151 昭和四十五(一九七〇)年六月 上尾バイパス(通称上武国道)建設反対に関する請願書(『請願文書綴』)
請願書
一、 | 件名 |
上尾バイパス(通称上武国道)建設反対について | |
二、 | 要旨 |
昭和四十四年五月二十日付建設省告示第二千四百九十三号をもって公示された北本町西部地区を通過する上尾バイパス(通称上武国道)は、国土開発、地域の振興、高速輸送と激増を続ける自動車交通量の緩和策の一環として国が策定されたものであります。 | |
ご承知のとおり現下の交通事情は最悪の極限に達し交通災害は日毎に激増し、尊い人命が多く奪われている昨今道路網の整備は大急の施策と考えるものでございます。然しながら本路線の計画予定線上にある北本町西部地区いわゆる大字荒井、高尾、石戸宿の地域で該当家屋の移転、とりこわしを余儀なくされる建物は住家その他で七十四棟という数に達しております。 | |
なお本路線が該地域を南北に縦断すると、部落は分断され地域住民の断絶はもとより、艘業経営の基盤である農地の大半を失う者、また生活の根源をなす荒川沿いの農耕作の出入りの危険は言を俟ず、加えて通学児童の登下校の危険は加重すること必至であります。 | |
計画予定線上にある居住者及び関係地主は、住みなれた土地、先祖伝来の土地から離農、離散することは耐えられぬ苦痛であり、また該道路造成によって起る車の騒音はもとより、排気ガス公害から住民の健康は害され、従来の快適な生活環境が破壊されることを地域住民は憂い不安な日々を過している状況であります。 | |
かかる観点からいかに国の施策といえども本路線の建設は住民の生活をおびやかすものであり、予定線上にある関係者は本計画予定線の建設を断固として反対するものでございます。 | |
如上のとおり地域住民に及ぼす経済的、精神的影響は大きく、住民は不安な日々を過しておりますので、住民が一日も早くこの不安から解消され快適な生活が送れるよう計画予定線の建設を御検討下さるよう格別なる御配慮を煩わしたくお願い申しあげる次第でございます。 | |
何卒賢明なる議会の皆様、住民の切なる願いをおくみとりいただき最善の御力添え下さいますよう関係者一同連署をもって請願いたす次第です。 |
(後略)