北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第1章 生活の場と民俗概観

第4節 民族とは何か ―民族知識を例として―

植物に関するもの
天王様の祭までは、きゅうりを食べてはいけない。
きゅうりは輪切りにしてはいけない。天王様の紋になる。
初成りのきゅうりを水神様に上げないで食べると、子供が水難にあう。
家によっては、瓜を作ってはいけない。
家によっては、ゴマ・トウモロコシ・キビを作ってはいけない。
十日夜には大根畑にはいってはいけない。
イチョウを屋敷内に植えてはいけない。
ビワは屋敷内に植えるものではない。
ザクロを庭に植えるものではない。
ホオズキを庭に植えてはいけない。
桑の木を杖にしてはいけない。
ミズキを天井に吊しておくと、火事にならない。
猿の腰掛を入口に吊しておくと、泥棒よけになる。
禁忌作物として栽培しない植物には、もともと神供として用いられたことに基づくものがある。キュウリを禁忌作物として栽培しないのは祇園信仰との関連によるもので、古くはキュウリが水神の供物とされた食物であるところからきたものである。水神様に上げないで食べると、子供が溺れたり災難があると伝えられている。
大根関係の俗信が多いのは、神供として主要な物だったからであろう。外来植物も禁忌作物とされる例が多い。
イチョウなどは社寺の境内にあり、霊木なので屋敷内に植えるのをはばかる。ビワ・ホオズキなど仏事に使用するものも忌む。

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