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第3章 農業と川漁

第1節 畑と畑作物

3 畑作の過程

(一)麦
品 種
前述のように大麦と小麦では、かつては大麦を多く作り、小麦はおもに自家用で少なかった。明治時代末ごろに埼玉県内で作られた大小麦の品種は、『日本主要農作物耕種要綱』(大正二年一月、大日本農会)によれば、大麦では早生種のチッコ・竹林(ちくりん)・弁慶・中生種の穂揃(ほぞろえ)・三徳(さんとく)・関取・虎ノ尾・水晶、晩生種のゴールデンメロン、小麦では早生種の赤達磨・中生種の細稈・笑出シ・相州・坊主・晩生種の白チャボがあり、大麦は穂揃・三徳・関取が、小麦は赤達磨(あかだるま)が広く作られ、それぞれ作付全体の五割程度を占めていたとある。
数種類の有力品種がありながらも、明治末ごろには品種改良が進んでいたのがわかるが、北本市内では、戦前までは大麦はほとんどが関取で、その後は埼玉系の品種や六条麦(ろくじょうむぎ)を作るようになり、小麦は赤達磨や白チャボであったのが戦後になって農林系の品種を作るようになったという。明治末・大正時代に作られた品種には、すでに忘れられたものもあろうが、麦の作付は単一品種的な傾向が古くからあったのがうかがえる。

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