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第9章 年中行事

第2節 春から夏の行事

6 六、七月の行事

ハツヤママイリ
旧暦六月一日(現在は新暦七月)は、ハツヤマ(初山)と呼ぶ浅間様の年一回の祭礼である。
前日のヨイマチ(宵待、宵宮)から賑わう。
ハツヤマとかハツヤママイリ(初山参り)と言って、昨年の大祭以降この一年間に生まれた子供(男女とも)をお参りに連れていった。子供の額に初山登拝記念に富士の形の朱印を押してもらい、神社でお祓いを受け、お札とウチワ、お供え物を頂いてくる。誕生祝いなどを貰った親戚などにもウチワを配った。

写真25 浅間様の朱印を押す(東間)

写真26 浅間様初山の子供たち(東間)

現在では、東間の浅間様が近在の人々で賑わっているが、かっては荒井東原の浅間神社(通称タケノコ浅間)にお参りする人も多かった。タケノコ(筍)浅間というのは、子供がすくすくと竹の子のように育つようにとの縁起を担いだものだという。大正六年に須賀神社に合祀されたが、その後よくないことが続いたので、昭和二十六年再び現在地に分社した。
浅間様の初山の日には、新小麦でウドンを打ち、また、小麦マンジュウ(饅頭)をこしらえて食べることになっている。大神宮、仏壇、恵比寿様など家中の神仏に供え、家の者皆て食べる。朝早く起きてマンジュウをこしらえ、夜にウドンを打つ家が多い。大きな農家で、古い小麦が残っていても、それは使わない。ムギッキリ(麦切り)と呼んで大麦で作ったウドンも食べた。つながらないので長くならないが、軽くてうまい。「浅間様にウドン食えなきゃしょうが ない」といい、この日を目安にして小麦の取り入れをしたが、実際にはこの日に新小麦を間に合わせるのは、なかなか大変だったという。

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