北本の守り札 守札の概要と分類

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第1章 守札の概要と分類

第5節 守札の形式上の分類

(二)文字札

図11 文字札の種別割合

文字札は守護札、祈祷札、神璽札、護摩札、祓札に分類される。図11はそれぞれの割合を示したもので、守護札四〇三点、三〇.三%が最も多く、次いで祈祷札三八九点、二九.三%、護摩札の三六四点、二七.四%、神璽札の一五七点、一一.八%、祓札の一六点、一.二%と続く。以下、それぞれの文字札について説明する。


①守護札

図12 (50-5)

狭義の守札のことで、戸口に貼ったり、神棚の中や長押の上などに納めておく守札である。典型的なものは「成田山/御守護」(図12・50—5)のような守札である。
このほか「当病平癒/御札守」 (50—8)、「盗賊除三峯山」(35—10)、「弘法大師 災厄消除 擁護所」(48—8)など多様である。


②祈祷札

図13 (44-8)

そもそも祈祷と無関係な守札はないが、参詣者が主体的に目的意識をもって祈願した際に授かる守札である。典型的なものは、「御祈祷之札」(図13・44—8)や「官幣大社/氷川神社御祈祷神璽」(27—1) のような札である。
このほか「秋葉神前御祈祷寶牘」 (25—7)、「鎮火祭/奉斎五穀豊熟家内和順祈祷攸」(96—1)などがある。


③神璽札

図14 (44-26)

形式上は「神璽」の二文字が書かれている守札である。「神璽」は「御璽」ともいい、皇位の印がその本義であるが、古くは護身の鏡・剣・玉 (三種の神器)のことで、神道では祭祀の対象となった。このため、神璽札とは神社の御神体など、神そのものを意味し、高遠で格の高い守札であると理解できる。さらに解釈すれば、神璽札を神棚に納めることは、一戸ごとに神を勧請、遷座することに通じるものと理解できよう。「御嶽山御祈祷神璽」(図14・44—26)は典型的な守札の事例であり、このほかに「箭弓神社神璽」(32—1)、「大山阿夫利神社御璽」(47—5)にような守札もある。


④護摩札

図15 (14-6)

護摩札は、密教の儀式で護摩木を焚いて息災・増益などを本尊に祈り、後に付与される守札で、  梵  字(カーンマン)奉修不動尊永代護摩供家内安全如意祈攸」(図15・14—6)のように「護摩」の文字が表記されている。


⑤祓札

図16 (72-3)

祓いとは神に祈って、罪、穢れ、災いなどを取り除くことである。守護札がどちらかといえば将来への祈りや願いであるのに対して、祓いは今降りかかっている穢れや災いの除去に力点がおかれるもので、二〇点と少ない。図16(72——3)は御祓い大麻である。鈴木家には一枚しかないが、伊勢神宮から頒布されたいわゆる神宮大麻である。

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